さいたま模様 山田とも子のつぶやき
人々が慌ただしく行き交う夕暮れどきの大宮駅東口。
その空が鮮やかな青色に染まるときがある。

美しい・・・
あれは子どものころ町を包んでいた夕暮れの色、群青色。
その空の下には木造の大宮駅があった。

太い木材で組まれてあった改札口は磨かれたように艶やかだった。
私はそこに座り、ホームに入る蒸気機関車や列車を眺めていた。

ときには駅構内を探検しながら西口改札口まで行った。
だが、入場券を手にした記憶がない。

ご近所の「よしみ」が通用したのだろうか。
それとも、入場券に値しない存在だったのだろうか。
遥か昔の思い出となってしまい記憶はおぼろである。




雑草は生い茂る駅前のロータリーは
鬼ごっこをしたり、虫を捕まえる場所だった。

殺風景なロータリーであったが
夏のころになると
釣り鐘の形をした肉厚の白い花が咲いた。
その花を目印に、一回り二回りと、
ロータリーの周囲を巡ったものだった。



ロータリーが取り壊され、白い花を見ることがなくなってからのことである。

ある時突然、感傷的な気分に襲われ図書館を訪れた。
そこで、ロータリーで唯一花を咲かせる植物の名をユッカと知ったのである。

そして
ユッカが未来に向かい力強く伸びる若者を象徴させる「青年の樹」
と呼ばれていることを知ったのは
さらに後になるのである。



さいたま市大宮駅周辺での青少年への反復補導活動について


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