ギ−!ギ−!。
オナガの鳴き声が聞こえた。

鳴き声に視線を向けると,
オナガがカラスの後を追っている。

放たれた矢のように、身体を一直線に細くし、
カラスにまっしぐらに向かっていた。
オナガは激怒していた。

それは・・私は無責任に言えないが、
敵を撃墜するために命を懸ける特攻隊の心情だろうか。。

オナガの鳴き声は、心地好いとはいえない。
だが、私には学生時代の窓辺を思い出させてくれる声である。
燕尾服のように厳かな格好でヤマボウシの実を啄み、
雨上がりの水溜まりでオーケストラの指揮者のように羽を広げていた。

グレーと黒と白をセンス良く配置した装いは宮内庁長官か
国王に拝謁する高官のようにスマートである。
だが、姿に似合わないのは鳴き声である。
「けたたましい」声である。

ギ−!ギ−!

それは、理屈に合わないことを承知でごり押しする下品な悪漢の声。
オナガの声を聞くたびに
「天は二物を与えずとはこのこと」と思っていた。

カラスを追っていたオナガのその後はわからない。
だが、死を覚悟し戦いに挑んでいたことは確かである。

洋服のハンガ−をねじ曲げ巣を作るカラスの嘴、足の爪。
その恐ろしさには、同じ鳥類なら人間以上に承知しているだろう。
にもかかわらず、今日のオナガはカラスに戦いを挑んでいた。

そして判った。
死を覚悟でカラスを追うオナガの声
ギ−!ギ−!は、
逃げるカラスの「カァ、カァ」に勝っていたということである。

そこで私は思った・・・天は二物を与えていた、と。

そこで、人間に当てはめてみよう。

はっきりしないモゴモゴ喋り。
必要以上に大きな声で場を仕切る人。悪声。
約束を守らない人、破る人・・・・・・八方美人・・・etc。

逃げ切るという事では色々方法がある

万人に平等な天であるのだが
保身のためには
「二物」を与えていたのである、と・・・。

しかし、これは
その場を逃げ切るために天が与えた
「ぶつ」と思いたいのだが。



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