駅のコンコースを歩いているときのことです。
私の視線が
前を行く女子の足首で止まりました。
なぜかというと、そこに手術後間もないと思われる
直りかけの傷跡があったからです。


・・・どうも・・・切れたアキレス腱を縫い合わせたような・・・・
傷痕が盛り上がっています。
さぞかし痛かったことでしょう。


遠い昔・・・
私はバスケット部に所属していました。
綿の靴下を履き、さらに自分で編んだ毛糸の靴下を履き、
バスケットシューズの紐を固く結びました。
捻挫が怖かったからです。

それにもかかわらず、
私はスキーで踝の骨を欠き、現地の接骨院のお世話になるなど
たびたび足首を傷めることになりました。



捻挫。骨折。
接骨院に通うかたわら、私は朝に晩に自分で冷やし薬を塗り替え、
紫色になった足首や踝の具合を確認したものでした。

いっときも早く直さなければ周囲に迷惑をかけるからです。

あのころ、私は、怪我を負ってしまった心が、消極的になるということを知ったのです。
さらに、包帯の巻き方や、アキレス腱の「アキレス」という言葉が
「強いものが持つ致命的な弱点」
としてつかわれるほど、身体には大切な箇所であることも知りました・・・



さて・・・・
ピンクの傷跡とともに私の前を行く女子。
さぞかし痛かったことでしょう、と私は思ったのですが、
女子はめげていません。
極端に高く細いヒールの靴を履いています。

しかし、歩き方はゆらゆらと頼りなさげです。

私は女子のアキレス腱の今後の無事を祈らずにはいられませんでした。


大宮なんぎん物語
埼玉県下随一の繁華街、大宮南銀座。かつて見晴らし通りと呼ばれていた昭和26年頃からの光景・・・
山田とも子=つぶやき
読売新聞埼玉版 「ほのぼの@タウン」さいたま市レポート集 
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