夏の日差しを避けるためのパラソルを手にするたびに、
クロード・モネが描いた、日傘を差す優雅な女性を思います。

パラソルであれ日傘であれ、最近は優雅と言うより、
実用を重視し様々な色や材質でつくられているようです。
その為なのか、最近は、白いレースを組み込んだ優雅なパラソルを
見ることが少なくなりました。

真夏の日差しを避けるためのパラソル。

かつては白を基調に風通しの良いレースなどを組み込んだ
ものがほとんどでした。

さて、パラソルの事を考えているうちに、ずっと前の出来事を思い出しました。

20年ほど前の夏。確か午後1時ころでした。
私はあるワークショップに参加するために、木漏れ日の道を急いでいました。
小さな日差しであれ避けたい年齢肌なので、パラソルを差していました。
今日のパラソルの色は優雅な白です。

やがて・・ワークショップ終了の時間となりました。

「それでは・・また!」などと言葉を交わし合いながらも、
私の頭の中は帰路の西日のことを考えています。

なぜなら、私には

【パラソルを開く笑顔の輝ける  とも子】

を詠んだ責任があるのです。

パラソルは日焼けしないために差すもの。
だから。日焼けした肌はパラソルに対し失礼だ。
違反することになるではないか。
パラソルに応える肌でなければならぬー。

「日焼け、日焼けに注意!」

私は慌てふためきパラソルをパッと開いていました。

その時、

「山田さん。まだ、早いのではないですか」
と私に声を掛けてきた人がいました。
(早い?終わったというのに。帰るのが早いのかしら?)
振り向くとK教授でした。

振り向いた私は多分相当不満げな表情をしていたのでしょう。

なぜかというとK教授の表情が、やや引いた感じだったからです。
けれどK教授は人格者です。ニコニコと笑顔で言葉少なく言いました。

「その傘・・・まだ早いのでは?」

?・・・

私はその言葉を理解するまでに2秒もかかりませんでした。

何と!パラソルを差しながら会議室の中を歩いていたのです!

赤恥!
ということで

【パラソルを閉じる笑顔の真っ赤火 とも子】
2020年7月の初めに



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  「さいたま模様」の編集者山田とも子が
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