大宮花の丘にて。 橋の欄干にもたれ川面をながめていた。 川面が午後の太陽をキラキラと跳ね返している。 まさに光りの帯・・・ 何とも言えない輝き。綺麗・・・ さすがビオトープ。 そのとき、 水面にするりと顔を出したものがいる。 川鵜だった。 鵜は川の流れをさえぎるように置かれた丸太の中ほどにとまった。 その身体は、濡れて黒々と光っている。 まるで海から船に上がった直後の潜水服のようである。 彼は身体を行く流れに向けたあと、はるか彼方を見た。 (・・・見ているように思えた) 胸を張り、背伸びでもしているような後姿。 何を思っているのだろうか・・・ 鵜にもそれなりの悩みはあるにちがいない・・・ 私が思ったそのとき、 彼は空に向かい翼を大きく広げた。 まるで歌うように。 川面に吹く風も青空もすべて僕のもの・・・ その姿に思い出した場面があった。 大宮の南銀座のオリンピア劇場で観たイタリア映画である。 山の崖淵に立った男性が、空へ両手を広げヴォラーレを歌うシーン。 風を受け歌っていた・・。 もう50年以上経ってしまったので題名は忘れたが。 大宮花の丘公園の鵜は時間が限りなくあった青春時代を思い出させてくれた。 もう50年以上経ってしまったので題名は忘れたが。 情味溢れる光景を終わりまで見ていたかったのだが、 彼の体勢は延々とそのままのため、 私の方が時間切れとなってしまった。 なぜその場面が蘇ったのだろうと、あとで「ボラーレ」の歌詞を 調べたところ、橋から眺めた鵜の光景と一致するところがいくつかあった。 以下はヴォラーレの歌詞(部分) ・・・・ いきなり吹いた風が私をさらい 私は続く大空を羽ばたく ・・・・ ・・・ 空高く舞い上がる幸せ 飛んで 飛んで はずむ心 高く 太陽よりも高く 手と顔が青色に染まる 私は大空を羽ばたく |
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