すでに十数年前の年前の事になる。

 いつになく重い風邪をひいてしまい、
観たかった映画、その他、諸々の予定も中止。
つづいて、確定申告の時期も迫り
ひと月以上にわたる家籠りをしていた。

あれこれ片を付けてホッとした時は、
雛を飾らなけらばならない日を迎えていた。

桃の花を買うために外出した街は
春の光が満ちあふれ、家籠りをしていた者には
目の奥が痛むほどの輝いていた。



花屋の店頭には縄で縛られた桃が立てかけてあった。
入荷したばかりなのか、蕾がひしめき合っている

「この桃を三枝ほどください」
桃の枝を指し言った。

「入荷したばかりだよ」
と言いながら、店主が縄をほどいたその途端、
束ねられていた桃の枝が解き放たれ広がった。
その途端、いくつかの花がはじけるようにこぼれ落ちた。

「これくらいで良いでしょうかね」
店主が差し出した桃はのびやかに枝を広げていた。

私は桃の節句にふさわしい花を手に家へと急いでいた。



膨れんとする桃の束ほどかれぬ
1996年の自詠句

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 地球の温暖化により生きる環境を失いつつある生物の
ドキュメンタリ−映画「earth」を観た。
カメラは、命をつなぐために大地を移動する動物たちを、
遥か上空からアリの群れが行進するように、
ときには、動物の息遣いが感じられるほど間近に、
ダイナミックにとらえていた。

「カギになり−竿になり」という渡り鳥を表現した歌詞がある。.
このドキュメンタリ−にも渡り鳥が登場した。
ヒマラヤ山脈を越えインドを目指す渡り鳥(アネハ鶴)である。

私の場合、渡り鳥で知るのは、30羽ほどの鳥で構成された「カギ形」である。
しかし、アネハ鶴のヒマラヤ越えには国家を感じさせられた。
なぜなら・・その30羽ほどの「カギ形」が、
数えきれないほど集まり・・・大三角形を形成したのである。
ヒマラヤの最高峰8850メートルの空を覆う大三角形。
そのリーダーをつとめるのは大三角の先頭の一羽。

その一羽のリーダーを信頼し、従うアネハヅルの大群を想像していただきたい。
アネハ鶴のリーダーはと言うと、
すべての仲間の命をつなぐために慎重に風を読むのである。

慎重に風を読んでいた様子のリーダーが羽ばたいた。
数羽が追った。その数羽を追う一群!越えるのか!私の胸は高鳴る。だが、
中腹まで羽ばたいたリーダーは、翼を翻し地上下り立った。
そして何事もなかったように
彼の指示を待つ仲間の中に入った。
その姿は、冷静で知的で鳥には見えない。

彼は数日その行動を繰り返した。
ある日、神が下りて来たかの如く羽ばたいた。そして。、
世界最高峰のヒマラヤを越えた 一族を率いて・・・・・・・。
その光景は私の涙腺を緩ませた。
それほど感動的であった。私は たった一羽のリーダーと、
彼を信頼し飛び立った大三角形に心から祝福していた。

その後、ため息とともに思った。
トップに素晴らしいリーダーがいるアネハヅルは羨ましい。
いや、素晴らしいリーダーを選んだアネハツルが素晴らしいのだ!

皆を従わせる力とは。群れを導く能力とは・・・
順番でもない。
毛色でもない。
もちろん私利私欲ではない。
アネハ鶴のリーダーには「仲間すべての命をつながなければならない」
という使命感がみなぎっていた。
群れを路頭に迷わせない知識、洞察力を備えていた。
先頭で風を受け傷つく勇気を持っていた。
日本もアネハ鶴のようなリーダを頭にいただくことができたら・・
いや立派な頭を選べない私たちがいけないのだ。
私たちは、真のリーダーを選ぶ能力を、
遠い昔に失ってしまったのだ・・・。


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